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奄美大島・ユタ神様
  鹿児島
別冊宝島1636‐記事2
2011/04/06 23:22

ユタ とは何者か奄美大島は以前から私の好きな島で、これまでにも何度か足を運んだことがある。マングローブのジャングル、ヒカゲヘゴの大群落など、亜熱帯の植物が繁茂する自然の豊かさには、沖縄の西表島以上のものを感じていた。今から15年ほど前だっただろうか。私は奄美大島南西部にあたる宇検村という村のとある集落で、白装束の婆さまが男一人と女二人の計三人を従えて、庭先にある祠の前で祈り、祭事を行っている光景を見た。強烈な太陽の下、装束の白さだけが残像として残っている。押し黙ったまま緊張の面持ちで執り行われていたこの祭事の意味を聞くことはできなかったが、全員が一つの神の下でかしこみ、託宣を受けていることは一目瞭然だった。今から思えばこの白装束の婆さまこそ ユタ神 であったのだ。これは過去の実話としてじゅうぶん考えられることだが、近世、それも現代に至ってはまた別な意味でのユタ受難の実態があった。原因不明の病気にかかってしまいどんな手だてもないときや凶事がたびたび起こるとき、新築する屋敷の方位相談、運勢占いをしなければならないとき、結婚や家系相談など、およそ一人では推し量れないような問題を抱えた人は、その答えを出すためにユタにみてもらう。そうした一方で、迷い事の渦中にいて判断力が弱っている人や藁をもすがる思いでユタの教示をこう人たちに、ユタを名乗る悪徳霊感商法など詐欺師たちの悪の手が伸び、高額のものを売りつけられたりする詐欺事件も少なからず起きた。こんなこともあり、本来のユタが謂れも詐欺犯罪と十把一絡げにされてしまうこともある。「ユタの毎日の仕事は、お供えや水を神に祀ることである。これを何も告げずに放棄したとき、ユタは水神様によって殺されてしまう。」「ユタの呪文は、例えばひと言でも間違えると、その災いは全部自分に降りかかるという恐ろしいものでしたよ「私たちユタは水神様を祀ってユタとなるわけだけど、この根源を辿ればこの島の自然界すべてのものを溶かし込んで流れる水。そこに関わる自然も私たちも共生しているわけでしょ」ユタにみてもらう際には絶対に忘れてはいけないものが三つある。一つ目は「塩」。二つ目は「焼酎ニ合瓶三つ目は「御礼」―のし袋に 御神前 と書き中には3千円を入れること。私は、この三つを準備して、さっそく奄美市名瀬のど真ん中にあるユタ神様の家へ向かった。奄美大島でもっとも多くの配下のユタを持つ「親ユタ」と呼ばれる人物で、ユタ神の最上階に位置する人物である。

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